マルバノキを玄関前などに植えてシンボルツリーにしたいけど「臭い」なんて噂を耳にして実際どうなるのか気になるあなたのために書きました。
結論として、マルバノキは花も木も葉っぱも臭いません。無臭です。庭木・シンボルツリーとして申し分のない魅力的な木です。
私は自宅玄関前にマルバノキをシンボルツリーとして植栽し1年通して観察しましたが、一度も「臭い」と感じたことはありません。
このページでは我が家で育てたマルバノキの実際の写真を使い、メリットやデメリット、「臭い」という噂の検証から購入先までまとめました。
マルバノキの購入・植栽を検討している方はぜひ参考になさってください。
▶ マルバノキを植えるときは・・・
「くらしのマーケット」を使って、近くの植木屋さん・造園屋さんに相談してみましょう。
値段や植える樹種の相談自体は無料ですし、一般的な価格よりもだいぶ安く対応してくれますよ(私もお願いしました)。
【結論】マルバノキは臭くない!玄関前に最適な庭木です
冒頭の繰り返しになりますが、マルバノキは玄関前にシンボルツリーとして植えてOKです。
花が臭いという情報もありますが、個人的には臭いと感じたことは一度もなく「無臭」です。たまに匂うこともあったような気がする程度で、おそらくギリギリまで近づいて嗅がないとわからないくらいで、そもそも話題にするほどの悪臭がするわけでもありません。
個人的な意見を述べさせてもらうと、マルバノキ自体がキンモクセイやジンチョウゲのように香りを楽しむ香木ではないので、「臭い」だの話題にすること自体がナンセンスだなと思います。
放射状に伸びていく独特の枝ぶりと赤みがかった枝の色が美しく、特徴的なハートの葉っぱと紅葉は言う事なし。
シンボルツリーとして最高の木だなと感じます。
マルバノキとは?基本情報と特徴

続いてマルバノキの基本情報です。
マルバノキはマンサク科・マルバノキ属の落葉低木でハート型で緑、黄、赤の葉が混在して紅葉する葉と、株立ちで放射状に広がって伸びる幹枝が特徴です。
下記はみんなの趣味の園芸と、ガーデングの本場・イギリスの王立園芸協会「RHS(The Royal Horticultural Society)」より一部引用したマルバノキの基本情報です。
学名 | Disanthus cercidifolius |
原産地 | 日本(中部、近畿、四国) |
樹高 | 2M~4M |
横幅 | 2M~4M |
最終樹高までに要する年数 | 10年~20年 |
園芸分類 | 庭木・花木 |
形態 | 低木 |
花色 | 赤 |
日照 | 日向、半日陰、日陰どこでもOK |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 強い |
土壌pH | 酸性、中性 |
丈夫さ | H5 ※下記参照 |
※丈夫さの指標(引用元:RHS hardiness rating)
- H1a : 一年中室内で管理 (15℃以上)
- H1b : 夏は屋外で栽培可能 (10℃~15℃)
- H1c : 夏は屋外で栽培可能 (5℃~10℃)
- H2 : 低温に強いが、凍結には耐えられない (1℃~5℃)
- H3 : イギリスの沿岸および比較的温暖な地域では栽培可能 (-5℃~1℃)
- H4 : イギリスのほとんどのエリアで栽培可能 (-10℃~-5℃)
- H5 : 厳しい冬でもイギリスのほとんどのエリアで栽培可能 (-15℃~-10℃)
- H6 : イギリス全土と北ヨーロッパで栽培可能 (-20℃~-15℃)
- H7 : 最も厳しいヨーロッパ大陸の気候でも耐えられる (-20℃以下)
マルバノキの樹形:株立ちになりやすい

上記の写真からもわかるように、マルバノキはほぼ全てが株立ちになります。
庭木は多くが単木(幹が1本だけのもの)と株立ち(根元から複数の幹が立ち上がっているもの)の2種類販売されていますが、マルバノキはほぼ株立ちしかありません。
マルバノキは株立ちに育つ性質があるようで、私も今まで見たマルバノキで単木のものはありません。
この独特の株立ちの姿がマルバノキの魅力のひとつです。
マルバノキの花:マンサクに似た目立たない紅花

マルバノキはマンサク科ということもあり、マンサクによく似た花を咲かせます。
花弁が細長く、小さいので遠くから見ると気づけないほどです。
このマルバノキ特有の小さな花の匂いが「臭い」と言われているようですが、冒頭でも書いたように決して臭くはありません。
ぎりぎり近づいて嗅いでも臭いと感じたことは一度もありませんし、どちらかというと「無臭」です。たまにやや匂いがするような気もしますがまったく気にする必要もないほどの匂いですし、そもそもキンモクセイなどの香木でない限り花に良い香りを求めることもないでしょうし、気にするようなことではありません。
後述するような魅力がたくさんある本当に優秀な庭木なのに、マルバノキがかわいそうだな…とすら思います。
マルバノキの斑入り園芸品種:「恵那錦」

マルバノキには葉っぱに斑が入った園芸品種もあります。
それが上記の写真にある「恵那錦」と呼ばれるもので、よりやわらかな雰囲気を持ち洋風の庭に合いそうな木です。
紅葉した姿はさらにかわいい見た目になり、葉っぱの緑色の部分がピンク色になります。
洋風の庭がお好きな方には「恵那錦」の方がおすすめです。
マルバノキを玄関前に植えるメリット
ここからはマルバノキを玄関前に植えて後悔しないよう、メリットとデメリットをそれぞれご紹介します。
まず、メリットは下記のとおりです。
- ハート型の葉っぱがかわいい
- 緑・赤・黄色の3色の紅葉が楽しめる
- 放射状に広がる特有の樹形が美しい
- 成長が遅く最終樹高も低いので管理しやすい
- 病害虫に強く強健で日陰から日向まで植えられる
- 個性的で他人とかぶらない
順に詳しくご紹介します。
ハート型の葉っぱがかわいい

マルバノキの最大の特徴といえばハート型の葉っぱだと思います。
幼葉のうちは丸みを帯びていて本当に理想的なハート型で小ささもあいまって華奢でかわいい印象を受けます。
成葉になると角がついてカクカクした印象になってきますが、それでも全体的な形は整っていて、これが華奢な枝にいくつもつく姿はほんとうにかわいいです。
シンボルツリーとして非常に印象的なので、玄関前などはマルバノキの植栽場所としてうってつけと言えると思います。
緑・赤・黄色の3色の紅葉が楽しめる
マルバノキの葉っぱはハートの形である他に、紅葉がとにかく美しいという特長もあります。
マルバノキは日照条件によって紅葉の際の色を変える性質があり、日当たりがとても良い場所であれば真っ赤になります。
これが一日の半分ほど日が当たる場所や日陰に近い場所だと、緑・赤・黄色の3色が混在する、他の落葉樹にはない見事な紅葉を見せてくれます。
マルバノキが最も見頃なのは、この紅葉が楽しめる秋で、日当たりによって紅葉のパターンをコントロール可能。
そのため、植える場所を先に決めるのではなく「どんな紅葉が見たいか」から逆算して植える場所を決めるという楽しみ方もできるのです。
放射状に広がる特有の樹形が美しい
マルバノキは葉っぱ以外にも、美しい樹形も見どころです。
マルバノキは基本的に株立ちで、複数の枝が少しうねるように放射状に広がっていく特有の樹形をしています。
葉っぱを落とした冬の間でも遠目から見てもひと目で「あ、マルバノキだ」と認識できますので、不思議と物足りない印象を受けません。
ふつう放射状に伸びる木は枝が暴れるような、ボサボサな印象を受けますが、マルバノキだけは特別で自然と「美しい」と感じてしまうと思います。
成長が遅く最終樹高も低いので管理しやすい
マルバノキは成長が非常にゆっくりです。
加えて、先程「マルバノキの基本情報」でも書いたように、最終樹高がどんなに大きくなっても4M程度なので管理が非常に楽です。
そのため基本的に剪定は必要なくほぼ放置でOK。我が家でも植え付けてから一度も剪定をしたことがありません。
しかも直前で書いたように特有の美しい樹形をしているので剪定をせずとも自然樹形が美しいという特徴もついてきます。
病害虫に強く強健で日陰から日向まで植えられる
マルバノキは病害虫の被害が非常に少ない木です。
我が家のマルバノキも今まで一度も病害虫の被害にあったことがなく、事実、RHSにも「基本的に害虫は発生しません」「一般的に無病です」との記載があります。
その強健な性質は日照条件にも当てはまり、日向も半日向も日陰も関係なく植えることができます。
病害虫に強く、さらに日照条件も選ばないというズボラさんほどおすすめの庭木と言えるでしょう。
個性的で他人とかぶらない
ここまで紹介してきたように、マルバノキは他の庭木にはない特徴が満載です。
- 株立ちで放射状に広がって伸びる独特の樹形
- 緑・赤・黄色の3色に紅葉
- ハート型の葉っぱ
これだけの特徴を兼ね備える木は他にはありません。
加えて枝の色が先にいくにつれて赤くなっていくのも本当にきれいです。
我が家には2Mクラスの木が8本植わっていますが、その中でもひときわ存在感のある木で、玄関に一番近い目立つ位置に植えているのですが、本当に植えて良かったなと思っています。
もちろん近所でマルバノキを植えているお家はなく、個性的でありながら見栄えがするので、他人とかぶらないシンボルツリー・庭木を求めている方には本当におすすめです。
マルバノキを玄関前に植えるデメリット(後悔するかもしれない点)
次にマルバノキを玄関前に植えるデメリットをご紹介します。
- なかなか大きくならない
- 花が地味で見栄えが良くない
- 価格が高い
- 販売されていることが少ない
上記4点についてご紹介していきます。
なかなか大きくならない
マルバノキは中低木に分類される木で、一般的な個人邸に植えた場合は最終樹高が4M程度と小さいです。
加えて成長速度も遅いので、これがデメリットになるかもしれません。
特にシンボルツリーとして考えている場合は、ある程度の大きさも必要かなと思いますので「なかなか大きくならない」「小さい」とデメリットに感じることもあるはずです。
我が家のマルバノキは購入時2Mを超える大きさだったのですが、幹が華奢なこともあって「これより小さかったらシンボルツリーとして見栄えしなかっただろうな」と感じます。
花が地味で見栄えが良くない
シンボルツリーとして選ぶなら「花が咲く華やかな木」を求める人も多いかと思います。
そんな方にとってはマルバノキの花は地味に思えるかもしれません。
マルバノキは紅葉して葉がすべて散りかける晩秋ごろに咲き始めますが、これがかなり地味です。
ぱっと見た印象は「あれ?葉っぱの残りかな?」くらいの小ささと地味さで、近づかないとその存在に気づかないほどです。
花の少ない時期に咲いてくれて目立たないことに趣を感じるといえばそうなのですが、華やかさを求める方にとってはデメリットに感じるかもしれません。
価格が高い

マルバノキは成長が遅いと書きましたが、成長の遅い木というのは一般的に価格が高いです。
成長が遅い=売れるくらいの大きさになるまでに時間がかかるということ。それだけ手間がかかるので希少性もあいまって価格が高くなってしまうのです。
ちなみに上記の写真は外出先の園芸店でたまたま見かけたマルバノキですが、樹高1.3Mくらいで16,000円という値段でした。
さらに下記はシマトネリコとマルバノキを、楽天の同一ショップで同じ大きさのものを比較した表ですが、マルバノキは1.3倍くらいの価格です。
このように価格差があるので、メジャーな木に比べれば手を出しづらいかもしれません。
販売されていることが少ない
最後に販売数の少なさもデメリットと言えます。
魅力のある木で販売数も増えてはきましたが、成長の遅さもあって、人気樹種であるシマトネリコやアオダモ、ヤマボウシなどに比べればまだまだ少ないです。
専門店や規模の大きいホームセンターでは時期によっては見かけることがありますが、それでも希少な部類で、販売されていたとしても1Mクラスの小さいものが多いです。
そのため、もしマルバノキを確実に手に入れたり、大きなものがほしいなら通販で購入することをおすすめします。
楽天では下記のように1.5Mクラスのものが豊富に揃いますよ。
マルバノキを植えるときの注意点
上記を踏まえて「マルバノキを植えたい」と思った方は下記2点に注意しましょう。
- どんな色の紅葉を見たいかで植える場所を決める
- プロ(植木屋さん・造園屋さん)にお願いして植え付ける
それぞれ理由と詳細を解説します。
どんな色の紅葉を見たいかで植える場所を決める
先程書いたように、マルバノキは日照条件によって紅葉するときの色が変わります。
- 日当たりの良い場所:真っ赤
- 半分ほど日陰・日陰に近い場所:緑・赤・黄色が混在
概ねこのようになりますので、どちらの色の紅葉を見たいかで場所を決めてから植えるようにしましょう。
※植え付ける場所を選ぶ必要がない、選べない方は除きます
プロ(植木屋さん・造園屋さん)にお願いして植え付ける
そして最も重要なのがプロにお願いして植え付けるということです。
マルバノキに限らず植木は自分で植えることもできます。ですが、仕上がりや成長度合いに差が出ることがあるのも事実です。
我が家には自分で植え付けた木と、植木屋さんプロにお願いして植え付けてもらった木の2種類がありますが、後者(プロが植えた方)が
- どこから見ても見栄えが良い(木の美しく見える角度や傾き加減などを計算してくれる)
- 家の外観や他の植物、庭木とのバランスが良い(浮いて見えたり、木だけが目立ってしまったりしない)
- 元気に成長する(新芽の出方がよく、花が咲く木は花つきもよく、花が咲くまでの期間が短い)
こういった違いがあります。
庭木は一度植えたらほぼ動かすことはありません。それだけに最初の植え付けが失敗してしまうと大変です。
ですので、個人的にはプロ(植木屋さん・造園屋さん)にお願いすることを強くおすすめします。
「くらしのマーケット」を使って、近くの植木屋さん・造園屋さんに相談してみましょう。
値段や植える樹種の相談自体は無料ですし、一般的な価格よりもだいぶ安く対応してくれますよ(私もお願いしました)。
マルバノキの成長記録・育て方
我が家のマルバノキの成長記録と、育て方を不定期で更新します。
ここまでで説明しきれなかった細かい点についてもまとまっていると思いますので、ご参考になさってください。
2022年5月:マルバノキを玄関前の植栽スペースに植え付け

他の低木、メダカ用の睡蓮鉢と一緒に玄関前の植栽スペースに植え付けたときの様子です。
植木屋さんにお気に入りの樹形のものを見つけ、マルバノキが引き立つように他の低木も揃えて同時に植え付けました。
我が家の庭は粘土質の土なので、植え付けるための穴を大きめに掘り、さらに土壌改良のために赤玉土や腐葉土を入れています。
2022年9月:玄関前の植栽スペース完成&紅葉が少しずつ始まる

石と黒い玉砂利を敷き詰め、玄関前の植栽スペースが完成したのが2022年9月のこと。
切り抜いた写真なので見づらくて申し訳ないのですが、マルバノキの葉っぱが一部赤く色づいてきているのがわかると思います。
2022年11月:紅葉の終わりと共にマルバノキの花が咲き始める

黄色い紅葉と赤い紅葉が終わる頃、目立たない花が咲き始めました。
ピントが合っていない写真なのでまた改めてアップしたいと思います。
2023年3月:新芽がふき始める

早春になり、新芽がふき始めます。
チューリップの新芽が枝についているような見た目でかわいいです。
2023年4月:新芽が開き、葉っぱがハート型に

新芽がふき始めて2週間~3週間で葉っぱがちゃんとハート型になります。
小さいうちはほんとうにきれいなハート型です。
2023年5月:葉が揃って見栄えのする姿に

新芽がふき始めて2ヶ月弱で葉っぱもたくさん生え、かつそれぞれの葉っぱが成長しきって、マルバノキ本来の見栄えのする姿になりました。
ここから秋までは概ねこの姿のままで、徐々に紅葉していきます。
2023年10月末:秋の気配、紅葉が始まる

2023年はとにかく夏が暑かったですが、10月末になって気温も下がりようやく秋の気配がしてきて、マルバノキも紅葉が始まりました。
マルバノキは葉っぱが全部赤だったり、半分が赤くなったり、緑だったり…と日の当たり方によって異なる紅葉のしかたをするのが面白いです。上記の写真がまさにこの様子で、ここから最後には真っ赤になって落葉していきます。
私はこの緑と赤が入り混じったマルバノキの姿が一年で一番美しいと思っています。
2023年11月:花が咲く

11月中旬~後半になって、マルバノキにも花が咲き始めます。
マルバノキの花が咲くのは紅葉して真っ赤になった葉っぱが落葉するタイミングです。「あ、そういえば葉っぱが少なくなってきたな」と感じてよく枝を見てみると花が咲いていることに気づく…ということが多いです。
直径1cmほどで小さく、かつ枝の色と同じ赤く細長い花弁の花。しかもポツポツとまとまって咲くことがないので、まったく目立たず地味な見た目です。
今年も気づけばたくさん咲いていましたが、臭いはまったくせず、ギリギリまで近づいて嗅いでみましたが無臭でした。

この記事のFAQ
マルバノキの花は臭くありません(匂いません)。花が臭いという情報もありますが、ギリギリまで近づいて嗅がないとわからないくらいの匂いで、話題にするほどの悪臭はしません。植物ならこれくらいの匂いはあるだろうな、くらいで「良い匂いではない。好んで嗅ぐものではない」くらいの感じです。
» より詳しくはこちら
マルバノキはマンサク科・マルバノキ属の落葉低木です。ハート型で緑、黄、赤の葉が混在して紅葉する葉と、株立ちで放射状に広がって伸びる幹枝が特徴です。病害虫に強く、成長が遅く管理しやすいなど、庭木としてシンボルツリーとして玄関前などに植えるのに最適な木です。
» マルバノキの庭木としてのメリット・デメリットをより詳しく見る